今まで生きて来て一度も人前に立ちたいとか注目されたいとか思ったことなんかない。ひっそり自分の好きなことを好きな人とゆっくり暮らせたらそれでいい。


私にそんな目立つ人生はいらないの。
 

「南乃帰らないのー?」

「うん、本返しに図書室寄ってくから実彩子先帰ってよ」

「わかった、じゃあまた明日ね!」 

「うん、ばいばい」

貸出期間今日までだからね、帰る前に寄ってささっと返して来ちゃお。

借りていた本を持って図書室へ、カウンターにいる図書委員の子に渡してピッとバーコードを読み取ってもらうだけで返却完了。
もうこれで用はなかったんだけど、せっかくだから他に借りるものないかなって静かな図書室をぶらぶらすることにした。

こないだ借りたの結構おもしろかったんだよね、他に同じ作者さん出してないかな?あれば借りようかなー…

「ん?」

本を探しに図書室を彷徨っていると下の方に気になるコーナーの見出しを見付けた。

「服飾科デザイン集…?」

服飾科デザイン集!?

すぐにしゃがみ込んで1冊手に取った。

え、これって服飾科の生徒が作った服が見られる本…!?