「南乃、おかえり!どうだった?」

「どうだったも何も最悪だよ!何あの上から!何様なの!?」

「クチュリエ様だよ」

「どうして普通に飲み込んでるの!?」

お昼休みが終わるちょっと前、解放されて教室に戻って来た。戻って来てもずーっと噂されてて居心地は悪いけど。

「クチュリエ、なんて?」

「…学祭のファッションショーのモデル頼まれた」

「学祭!?あ、モデルって学祭のやつか!」

やっぱりどうしても人目が気になって実彩子を廊下に連れ出した。こそこそ誰にも聞かれないようになるべく声を小さくして。

「いくら学祭だって言ってもファッションショーだよ!しかもうちの服飾科って有名だよね!?」

そうなんだ、私たち普通科からしたらそこまで際立った学校じゃないんだけど服飾科としては超有名で憧れた卵たちが全国から集まって来ている。

「パリコレデザイナーのKAZUSHI(カズシ)だってここ出身なんでしょ!?」

「こないだテレビ出たね、今度日本に帰って来て大きなファッションショーするってやつね!それに比べたら学祭なんて大したことないよ、がんばれ!」

「あるよ!めっちゃある!!」

こっちはそんな目立つ人生送って来てないんだから!!!