お姉さまが私の頬に何度も何度も頬ずりする。
 女同士だから、家族だからと、お姉さまは私に対して本当に遠慮がない。女帝の威厳はどこへやら。私はお姉さまの腕の中で、ぬいぐるみのごとく揉みしだかれている。

「お姉さま、や、やだ」
「抵抗するお前も可愛いよぉ、ティアナァ」

 お姉さまに唇を奪われそうになって、私は右へ左へ顔をそらして必死に抵抗した。

「お姉さま! 駄目です」

 私が顔を両手でガードすると、お姉さまはあからさまに口を尖らせた。

「なんだい、良いじゃないか。私とティアナの仲だろう?」
「いけませ……あ、やん、舐めちゃやだ」

 お姉さまは反撃かのように、私の首から胸元を舐めまわした。ぞわぞわする。
 私の視界の端で、ルシウス様がその美しい顔を静かに、ひどく歪めているのが見えた。

「恐れ入ります女王陛下。ティアナ姫が嫌がっておいでです。おやめ頂きたい!」

 ルシウス様は私の首筋に唇を這わすお姉さまに向かい、毅然とした態度で進言した。けれどお姉さまはおかまいなしに、私のドレスの襟元をツツツと指でなぞっている。