部屋についた私は、そっとベッドへ座らされた。離れていくルシウス様の香りが恋しい。
 ルシウス様は私の隣に腰かけ、私の手を握る。

「ティアナ姫。今日の貴女もとても素敵でした。堂々としたたたずまい、愛くるしいお姿、気品あふれる対応、すべてが素晴らしかった。姫のおそばで支える事ができ、とても誇りに思います」

 ルシウス様の長いまつげの奥、赤い瞳はルビーのように綺麗だ。うっとり眺めていると、ルシウス様の長い指が私の頬に伸びてくる。

「姫、お疲れですね」

 温かなルシウス様の指が私の頬をなでる。心地いい。

「お休みください、姫」

 ルシウス様が私の身体に密着するよう距離を詰める。
 彼の手が私を誘導し、私は彼の膝枕に頭を預けた。温かくて、良い匂い。全身の力が抜けていく。
 ルシウス様の手が私の頭をなでる。ゆっくりと一定間隔でなでるルシウス様の大きな手は、私のすべてを包み込んでくれるようだ。
 なんて気持ちいいのだろう。

「姫は俺の太陽です」

 ルシウス様が手の動きに合わせてささやいた。