「ルシウス様、本当にありがとうございました。おかげさまで最初の計画以上に素晴らしい会となりましたわ。本当に感謝します。お客様にもとても褒めてもらえましたのよ」
「それはすべてティアナ姫の計画があったからです。俺はただ資材を寄せ集めたにすぎません。姫の立てた計画が素晴らしかったのです」

 朝から働き通しのルシウス様が涼しい顔をして言う。彼の赤い瞳が優しいカーブを描いている。

「そんな、ご謙遜を。すべてルシウス様の功績ですわ。ねえルシウス様、この国で北東諸国の品々を集めるのは大変だったでしょう?」

 私の問いに、ルシウス様が苦笑する。

「いえ、実はルートがあったのです。ティアナ姫に貢物を持参していた時、複数の商家と親しくなりました。彼らの協力があっての事です」
「まあ、そうだったのですね」

 そのまま私はルシウス様と一緒に招待客を見送った。感謝を述べる招待客を見て、ルシウス様も嬉しそう。本当に良かった。
 最後の客が大広間を出ると、片づけのためメイドたちが部屋になだれ込んでくる。
 私は隣にいるルシウス様を見上げた。