その後、私とお姉さまはそろって大広間へと降りた。途中、キッチンの前でコックに指示を飛ばすルシウス様を見つけ、会釈する。

「あぁティアナ姫! なんとお美しい!」

 私に気付いたルシウス様が感嘆の声を漏らし近づいてくる。
 ルシウス様は私を上から下まで眺め、深く息を吐いた。顔のネジが取れてしまったくらい、表情が緩んでいる。端正な顔立ちに一瞬の隙が見えて、私はドキリとした。

「ティアナ姫、今日の茶会、無事成功させましょう」

 ルシウス様の一言で心が満たされる。心強い。彼となら成功させられる。そう感じる。
 ルシウス様は私の前でひざまずき、いつものように私の手を取って口付けた。これでもう、怖いものなしだ。
 そんな私の隣で、お姉さまがわざとらしく咳払いした。

「おいルシウス・マーシャル。貴様、この国の女帝の前で挨拶もなしか?」

 お姉さまのドスの効いた声にルシウス様はハッとして、返事をする。

「これは失礼いたしました、女王陛下。ティアナ姫があまりにもお美しかったもので」
「まあ、その気持ちはわかる」

 お姉さまとルシウス様は同時に私に顔を向けた。