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「ああ、ティアナ! 私の可愛い可愛い妹! ここにいたのか!」

 部屋に向かう途中、私はお姉さまとばったり出くわした。お姉さまは私をギュッと抱きしめ、あちこち触れてくる。

「どうした、ティアナ。元気がないな」
「……」

 私がルシウス様のことで落ち込んでいるなんて言ったら、お姉さまはきっとルシウス様を刺しに行くだろう。とても正直に答えられず、黙って部屋へ戻ろうとする。と、お姉さまも一緒に私の部屋へ入ってきた。

「ティアナ。まさかあの野郎に変な事をされたわけじゃないだろうね?」

 革張りのソファーに腰かけたお姉さまが急所を突いてくる。私は向かいのソファーに座るだけ座って、なんと答えるべきか思案した。けれど何も出てこない。

「何をされた? 言ってみなさい、ティアナ」

 業を煮やしたお姉さまが私の隣に座り直し、私の肩を抱く。

「まさか体を触られたんじゃあないだろうね?」

 お姉さまの指が私の胸元に伸びて、私は飛びのいた。

「違います! 私はただ、ルシウス様が私を大切にしてくれるのは、義務だからなのかなって、ちょっと、そう思っただけです」