王宮の中央庭園は色とりどりの花が咲き誇っていて美しい。
 私の視界の中で大ぶりなピンクの花弁が揺れるのと同時に、ルシウス様の柔らかいブロンドの髪が私の額にはらはらと落ちてきた。

「我が最愛のティアナ姫。貴女の髪は花のように甘く香り、その瞳はエメラルドのように美しい。あぁ、愛するティアナ姫。このルシウス・マーシャルの命は貴女のためにあります。貴女を命がけで守り続けたい。……ティアナ姫」

 そう言ったルシウス様の左手が私の腰をなでるように進み、グイと抱き寄せられた。彼に触れられたところが熱い。ルシウス様の右手はすでに私の頬をしっかりと包み込み、指先の熱っぽさが私の頬をさらに熱くさせる。

「ルシウス様」

 彼の赤い瞳が一瞬私の唇をとらえた事に、気づかないわけがなかった。心臓が耐えきれない。身体中が拍動する。ルシウス様の瞳に映る私は、どこか知らない少女のように大きな目をして、何か懇願しているように見えた。