「チョコちゃん、大丈夫か?」
「あぁっ、はい」

 私は貴教さんから離れてアワアワと焦っていた。顔が熱い。
 恥ずかしいところ、見せちゃったな〜。
 今度ちゃんと説明しよう。
 今日はきちんと話せる気がしない。

「ありがとうございました。じゃあ帰ります」
「俺はお礼を言われるようなことは何もしてないよ、チョコちゃん。……家まで送って行く」
「ううん、貴教さん。私は大丈夫です。一人で帰れま……!……」

 貴教さんは私の手を握って歩き出した。
「貴教さん?」
「ダメだよ。チョコちゃんは危なかっしくて心配だよ。俺が送ってくから」

 大きな手……だ。
 あったかい。
 私はお父さんの手を思い出していた。
 貴教さんに手を引かれながら歩いていると、彼の顔がほんのり赤いような気がしたのは気のせいだろうか。

 貴教さんは何も聞かない。

 チラチラと貴教さんの横顔を見ていると、繊細そうな顔立ちだけれど男らしさも感じた。

 貴教さんと克己さんはそっくりな双子だけど、こうして近くで見るとやっぱり二人は性格の違いが顔や雰囲気に出るのか、私はたぶん見分けがつく気がする。

 貴教さんと繋いだ手がとっても優しくあったかい。