どれだけそうしていただろうか。

気がつくとゾロゾロとトイレに人が集まってきていた。

4限目が終わったんだ。

鏡を開いて見た目のチェック。


うわ、少しクマが目立ってきたかも。


わたしはソッと耳をすませトイレにいる女子達の声を確認すると平静を装いガチャっと鍵を開けた。

廊下は体育を終えた生徒や給食の準備をする生徒で溢れかえっていた。

ガヤガヤと騒がしく、誰も見向きもしない。

ほらね。やっぱり誰も気づかない。

わたしがいなくたって。

わたしがこの世界から消えたって―。



「吉野さん!」



不意に名前を呼ばれてわたしは驚いて顔をあげる。

そこにはまだ四月だと言うのに汗だくの望月がいた。



何なのよ。