数歩歩いた時、さっきまで私がいた場所を振り返る。

改めて見るも、何もない。
本当に、身一つで「日本」に来ちゃったんだ。

不思議なのは「私はどうやって日本に戻ったんだろう」ってこと。

信じられない状況に、いつも楽観的な私も、さすがに不安になる。こうも外が暗いと、余計に!


「はい、着いた」

「え……ここ?」


王史郎が指さすのは、豪華な一軒家。大きい……。確かに、この家にご両親がいないとなると、王史郎も誰かを呼びたくなるよね。私だったら、ココに一人きりだと不安で泣いちゃうかも。


「真っ暗だね」

「そりゃ俺一人だからな」


……そっか。よく考えたら、お互いの両親が帰ってくるまで、この豪華な家で、私と王史郎の二人きりなんだ!


「さゆ。どうかした?」

「や!えっと、何でもないですっ」

「そ?じゃあ、どーぞ」


お洒落な家に、大きな玄関。玄関ライトをつけると、王史郎の整った顔がクッキリはっきり見えた。

やっぱりイケメンだ。
さらに言えば、声も聞きやすくて心地いい。


「〜っ」


意識すると、急に緊張してきちゃった……!