「あ……イオくん」


廊下の壁に背中を預けたイオくんが、腕を組んで私を見ていた。いつ現れたんだろう?

昨日は気づかなかったけど、彼はこの学校の制服をちゃんと着ていた。スリッパの色は、私と王四郎と同じ色。そりゃそうか、双子だもんね。


「イオくん……えっと、おはよう」

「おはよう、って返すとでも思ったわけ?ほんっと平和脳だね」


うぅ……。
昨日に引き続き、冷たいなぁ。

私も昨日は警戒していたけど、イオくんの事を話す王四郎を見たら……警戒する気になれない。

だって、あんな優しい顔で話す王四郎を、初めて見たんだもん。あの顔を見れば、イオくんは心から悪い人じゃないって分かる。

だから昨日みたいにギスギスした空気にはなりたくないんだけどなぁ……あ、そうだ!


「ねぇイオくん、嫌いな食べ物ある?」

「は?」