「さゆと俺は付き合ってるわけじゃなくて」
「ふむ」

「さゆは俺のご主人サ、」
「わー!
先生!それでは、私たちはこれで!」


パンッと、王四郎の口を押さえる。
そのまま廊下へ、全力ダーッシュ!

勢い余って人差し指が王四郎の目を直撃したけど、トンデモ発言を止めるためには尊い犠牲だよ!許して、王四郎!


「はぁ、はぁ……!」

「なんで逃げるんだよ、本当のことだろ」

「そうだけど、そうじゃない!」


発言する「時と場所」を考えてくれないかな!?
クラスメイト間で主従関係が結ばれてるなんて、どう考えてもおかしいでしょ!

そんなことも構わずポンポンと……。
火鳥王四郎、要注意人物だ!


「っていうか目ん玉を刺したな?いてぇ」

「故意に刺していないけど、ごめんなさい」


反論しつつ謝罪する私を一瞥した王四郎は「鏡みてくる」と。女子みたいなこと言って、男子トイレに向かった。

一人残された私の耳に、知った声が届いたのは、それからすぐの事。


「一人なの?無防備ー。
ボディガードが聞いて呆れるね」