☪︎3滴➼風邪をひいたご主人サマ




次の日、登校して朝一番。
王史郎と二人で職員室に行き、昨日の急な早退を、担任の須藤(すどう)先生に謝った。

男の須藤先生は体育会系なんだけど、見た目に寄らず細かな気遣いをしてくれる優しい先生だ。


「昨日は心配したが、元気なら何よりだ!
でも、そのなぁ……」


先生は、周りをキョロキョロ見回す。
なにか聞かれるとマズいことかな?

早く帰りたそうな王四郎とは反対に、横顔に冷や汗が流れる。すると先生の口から、耳を疑う発言が飛び出た。


「お前たち……付き合っているのか?」

「へ?」

「クラスの皆が噂しててな。宇佐美も火鳥も顔が目立つから〝もし付き合ってるなら美男美女だ〟って、専らの噂だぞ」

「宇佐美も〝ひとり〟も?」


宇佐美は、私。
じゃあ〝火鳥〟って誰?

すると横から「違うって、先生」と王四郎。
王四郎を見て「何がだ、火鳥」と先生。

え……。
王四郎の名字って、火鳥(ひとり)っていうの!?