似て非なるもの、ってことかな。
いや、吸血鬼と蚊は見た目が全然違うか。


「あ、もしかして耳たぶからも出来る?」

「は?耳たぶ噛まれたいのか?」

「そ、そうじゃなくて!私、蚊に耳たぶを刺されることが多いの」

「蚊……」


「俺を虫と一緒にすんな」と、眉間にシワを寄せた王史郎。向かい合ったテーブルから席を立ち、私の真横に並ぶ。


「な、なに……?」

「耳たぶから吸血できるか、試して見る?」

「ん?え?……え⁉」


ザザッと椅子の端っこまで逃げた私を見て、王史郎は眉間にシワを寄せた。一気に不機嫌な顔だ。


「なんだよ、さゆが言ったんだぞ」

「そ、そうだけど……っ」


今なの⁉
っていうか、私の血を飲むのは確定なんだね!?

慌てるヒマも、混乱するヒマもなく、王史郎は私の髪をサラリとどけた。

途端に露わになる耳。風通しが良くなった時、王史郎が「あーらら」と。不敵な笑みを浮かべる。