「今日も作るの?すごいね」

「小さい頃は、イオにもよく作ってやったんだよ。アイツ料理はからっきしなのに、すぐ腹減ったって言うもんだから」

「ふふ。双子でも、料理の腕は正反対なんだね」


王史郎は、本当にイオくんのことを、何とも思ってないみたい。証拠に、イオくんの話をしている王史郎の表情は柔らかい。あれは、お兄ちゃんの顔だ。

でも、イオくんはあの態度だしなぁ……。
昔、二人になにかあったのかな?


「さゆは?なに食べたい?」

「え、私の分も作ってくれるの?」

「一緒に住んでんだぞ?当たり前だろ」


作ってくれるの〝当たり前〟なんだ。
そんな風に言われると、嬉しいなぁ。


「ありがとう!料理できない分、買い出しにいくよ。何が必要?」

「お前が買い出し?ダメだ」

「なんで?」


頭をコテンと倒すと、王史郎が写った視界も、斜めを向く。

イオくんも整った顔だけど、さすが双子というべきか。王史郎のイケメンっぷりも他の追随を許していない。うん、絶対モテる顔だ。

そんなモテる男の口から出たのは……
なんともなんとも甘い言葉。