「あなたの言ってること、間違ってる」

「ん?」

「王史郎は〝私が死ぬまで守る〟と言ってくれた。私が嫌がることはしないし。そんな彼だからこそ、宝石を無理やりとるなんて真似、しないと思う」

「――は?」


笑ったまま、男のこめかみにシワが刻まれる。
敵の王史郎を庇ったから、腹が立ったんだ。

でも……事実だもん。
王史郎を悪く言われると、すごく嫌だ。


「大体、あなた何なの。いくら騎士団?とかなんとかでも、そんなに人の悪口を言うもんじゃ、」

「俺はイオ。
アオイシの、双子の弟だよ」

「……え?」


驚いて、口が固まる。
私、いま何を聞いた?

この人が、王史郎の弟?
二人は……双子⁉


「でも、さっき〝アオイシを倒す〟って……。
双子なのに、王史郎を倒すの?」

「双子も何も関係ないよ。俺は騎士でアイツは吸血鬼、だから倒す。それだけ」

「ッ!」


紫の瞳が、ブレない。
心の底から、本気で言ってるんだ。