「そっけない態度を、とりすぎちゃったな」


よく考えれば、王史郎は勝手に契約された身の上なわけで。しかも私は、彼の家に住まわせてもらい、これからずっと守ってもらう……申し訳なくなるくらい、色々してもらってる。


「というか〝私が死んだら赤い宝石をあげる〟って、勝手に決めちゃったけど良かったのかな?」


あの時は「死にたくない」って思いで、がむしゃらに契約した。

でも、よく考えれば……だれにも奪わせないように、宝石はわざわざ私の中に隠されていた。王史郎も「宝石が今まで強く封印されていたのか気配がなかった」と言っていたし。


「気配をなくすくらい、この宝石を世に出しちゃいけなかったって事なら……私がした契約って、マズイんじゃないの?」


もっと宝石のことを聞きたい。

宝石が私の体の中に入る前のこととか、もしかしたら王史郎は知ってるかもしれないし。色々知っていけば、オーラを消せる方法も分かるかもしれないし!


王史郎に聞くため「善は急げ!」と、回れ右したところで。

 ドンッ

柔らかい感触が、鼻にぶつかる。