「このシルシは、言わばマーキングだ。コイツは俺が狙ってるから手を出すな、って証。
だから他の吸血鬼に襲われたら、シルシを見せろ。それだけで、大抵の吸血鬼はビビッて逃げていく。最強の俺とやり合おうなんて思わないだろうからな」
「んん?」
今の、聞き間違いじゃないよね?
最強吸血鬼?俺のこと?
つまり――
「王史郎って、吸血鬼の中で一番強いの?」
「もちろん」
「最強なの?」
「当たり前」
そ、そうなんだ……。
でも本当に最強なら、さっきの戦いぶりも頷ける。王史郎が一人きりで、ものスゴイ数の吸血鬼を負かしたんだもん!
「さゆがテレポートした瞬間、俺は赤い宝石の気配を察知した。だから、すぐにさゆを迎えに行った。他の誰にも、宝石を渡さないためにな」
「出会ったのは必然、ってわけなんだ……」
「まさか運命なんて信じてるのかよ?」
いかにもバカにした笑みで、ハッと笑われる。私もウカツな発言だったと気づき、ハッと口を閉じた。
といっても、隣から「もう遅ぇよ」と憎まれ口を叩かれたけど。