「ここで会ったのも何かの縁、って言うし。王史郎が〝心から私を守りたい〟って思ってくれる方が嬉しい」

「……むちゃ言うな」


半分伏せられた目に見つめられる。
アンニュイな雰囲気に、少し心臓がはねた。


「俺は、お前に興味はない。欲しいのは中身だけ。

それに、こっちは〝もう契約はいいや〟と思っていたところ、無理やり結ばされたんだ。混乱もするだろ」

「そう、だよね……」

「ま。契約したからには、ちゃんと守るけどな」

「!」


王史郎が大切にしてるのは、私じゃなくて、私の中にあるモノ――そう思うと、ちょっと悲しくて、ちょっとだけ沈んでいた。

そんな王史郎が「ちゃんと守る」って言ってくれて、嬉しい。なんだかんだ気にしてくれるんだ。

 ハッ!

……だんだん口角が上がっていることに気付き、急いで自分の口を隠す。