だけど王史郎は、どこ吹く風。

あれだけ宝石の輪っかを出して戦ったのに、疲れとかダメージは皆無らしく、背筋がまっすぐ伸びている。疲れ知らずらしい。

隣に座る私へ向き合い、涼しい顔で説明を始めた。


「あの光る紐は、契約のシルシだ」

「契約のシルシ?
私と王史郎が契約したってこと?」

「……そう」


納得いかないのか、王史郎は仏頂面で頷く。

でも、契約って左手の薬指なんだよね?
王史郎が噛んだのは、右手の薬指。
てっきり契約は失敗かと思ったけど……違うの?


「なんで契約が成立したか、俺も不思議でならない。ルールを破っての契約だから、何か悪いことが起きなきゃいいけど」


神妙な面持ちだ。私が右手を出したことは、相当マズかったみたい。