「おい、なんで右手を吸わせてんだよ。本当に契約したいのか?」
「だ、だって左手の薬指は、その、王史郎にあげたくないっていうか!」
「誰もお前の指なんて望んじゃないっての。いるのは、お前の中身だけ――って、あぁもう!集まってきやがった」
見ると、王史郎の言葉通り、私たちの周りに群がる生徒たち。女子も男子も関係なく、ごちゃ混ぜで私たちを囲んでいる。みんな無言+無表情。
最悪なのは、武器を持っていること。鎌だったりナイフだったり、中には鉄球って人も!
ひっ。あのギザギザの鉄の塊に当たったら、一瞬でぺちゃんこだよ!
「な、ななな、なんでこんなに人が⁉」
「人」っていうか、もしかしなくても「吸血鬼」だよね⁉
この学校に、吸血鬼と人間が混在してるってこと⁉
恐怖で唇をカタカタ鳴らす私を見て、王史郎がため息をつく。
「本来、契約を交わすと〝俺のシルシ〟がさゆにつく。〝俺の物だから触れるの禁止〟って、吸血鬼の中ではよくあるマーキングだ。
だから、さっききちんと契約してれば、さゆは狙われなかったハズなんだ。それなのに……」
ギンッと、鋭い瞳が私を射抜く。