「さゆ、契約するぞ」

「契約?」

「さゆが死んだら、元も子もないからね。俺が全力で守ってやる」


男子生徒には目もくれない。それなのに王史郎は、私から目をそらそうとしない。

それほど、私の中にある「何か」が大事なんだ。


「本当に、私を守ってくれるの?」

「その代わり、さゆの中にある物は、俺がもらう。カケラでさえ、さゆの中に残さない。俺が全部ひとり占めだ。いいな?」

「……っ」


青い瞳が太陽の光を受けて、眩しいほど輝く。
……うん。
まだ私は、この眩しさを感じていたい。

死ぬなんて、ごめんだ!


「する!王史郎と契約したい!」

「よし。じゃあ左手の薬指を出せ。」

「え」


左手の……薬指!?