「あ、あの人も吸血鬼なの!?」


後ろは校舎。逃げ場がない、八方塞がりだ!

ピンチな私が面白いのか、笑いながら高みの見物している王史郎。いつの間にか私のすぐ横にいる。それなのに、助けようともしない。


「わ、私を可哀想とは思わないの!?」

「可哀想とは思うけど、さっき思いっきりさゆに逃げられて凹んでるんだ。だから、ちょっとした仕返し」

「なにそれ陰湿!」


吸血鬼モードの王史郎は軽いというか、よく喋る。そして毒舌だ。


「ほらほら、逃げないと死ぬぞ?俺はその方がラッキーだけど」

「わ、わわ!」


再び鎌が降ってきた。間一髪のところでかわすと、鎌は校舎のコンクリートにめり込む。男子生徒は無言+無表情で、鎌を抜くことに専念していた。

助かるには、このチャンスを活かすしかない!


「わ、私が死ぬ時、私の中にある物も一緒に消すから!」

「ふぅん。出来んの?」

「えっと……」


分かりやすすぎるくらい、目が泳いでしまった。