『イギリスから日本にテレポートしてきたって事だけど、それに関して何も不思議に思わないの?』
『別に』
『へぇえ……?』
私自身は不思議だらけだけど、王史郎は違うらしい。
「じゃあ両親を探しながら、さゆはさゆで生活していかないとな」の一言で、その場は解散。
そのまま歯磨きして寝て、起きて。
リビングに来たら、この光景。
……ハッキリ言おう。
頭がついていかない!
「さゆは帰国子女。家族ぐるみで仲が良いから、両親が帰って来るまで俺の家で一緒に住んでるって設定」
「学校の手続きは誰がしてくれたの?というか、制服とかは誰が買ってくれたの?」
「……はぁ」
「え、ため息?」
口を開けば質問しかしない私を見て、王史郎は眉間にシワを寄せた。顔に「説明が面倒」って書いてある。
うぅ、だって気になるじゃん……。
すると「どーぞ」と。
渡されたのは、新品の制服。
「着て来いよ。あと十分で家を出る。学校までの道を教えるから」
「わぁ、すぐ着替えてくる!」
完璧にはぐらかされたけど、置いて行かれるのは嫌なので。超高速スピードで早着替えする。