王史郎の目が細くなる。表情筋がない人だと思っていたのに、この笑顔。どうやらウケてくれたらしい。王史郎の考えてることが分かると、嬉しいな。
「あ〜、今やっと疲れがとれた気がする」
「風呂はイマイチだった?」
「とんでもない!最高だったよ!
でもね……ふふ。内緒ッ」
「?」
どうやら私にとって王史郎の笑顔は、お風呂よりも効果があるみたい――とは、ちょっぴり恥ずかしくて言えなかった。
☪︎·◌˳𓇬
「で、これが制服。これがカバン、教科書とかは学校が用意してくれてるらしい」
「なんで昨日の今日で、転校準備がバッチリなの?」
朝起きてリビングに行くと、ズラリと並んだ学校用品が目に入る。どうやら〝今日から私が通う〟学校の物らしい。
昨夜、王史郎には、私の身の上を説明した。
しどろもどろに話す私とは反対に、王史郎はチャーハンを食べながら「へぇ」とか「うん」とか。チャーハンも私の事情も、咀嚼してくれた。