☪︎Prologue
「おい、なんで右手なんだよ」
「え、なんでって……!」
「お前、俺のご主人サマになる気ないの?」
切れ長の青い瞳。
爽やかになびく黒髪。
耳にはゴールドのピアスが一粒。
骨ばった手が、震える私の左手をさらう。
手には青い宝石のついた指輪が、何個か。
無機物なはずの宝石が、まるで狙いを定めるように。私の顔に、太陽の光を反射させた。
「左手の薬指、ここから吸血させて。
そうすれば俺は、お前の言いなり。
お前は俺の、ご主人サマ」
深い深い混乱の中。
内側から燃える赤い炎が、
いま確実に、私の世界を変えた――
☪︎·◌˳𓇬