───私の気持ちと店員さんの気持ち───
店員さんに私の気持ちを伝えるべきか迷い私は伝えるのを止めた。
店員さんの幸せが一番だ、店員さんとの時間や店員さんの笑顔がこれからも見られるなら今のままでも良いと思ったからだ。
今は真虎さんと合流して喫茶結に向かっている。
「愛美ちゃん…一度くらいは伝えてもあの店員さんは受け止めてくれるよ」
真虎さんが立ち止まる。
「…分かってます。でも、困らせたくないので」
私も立ち止まる。
私は店員さんの過去を聞いたあの日に真虎さんに連絡し自分の気持ちを話した。
「優しいね愛美ちゃん」
真虎さんは私の頭を撫でる。
「でも、店員さんは"好き"って言われたら嬉しいと思うけどね」
「そうですかね?」
「そうだよ!ですよね?店員さん」
真虎さんはそう言い後ろの電柱を見つめた。
私が首を傾げていると気まずそうに店員さんが顔を覗かせた。
「うん…」
「て、店員さん!?」
私は電柱から出て来た彼に驚き目を丸くする。
「盗み聞きしてごめんなさい…たまたまおふたりの会話が聞こえて来ただけで盗み聞きするつもりはなかったんです!」
「わ、分かってます!分かってますから!」
「「…」」
何時まで沈黙が続いたのか分からない。
パニックになりながら私は店員さんの反応を窺う。
店員さんはちょっと嬉しそうなでも申し訳なさそうな笑みを浮かべながら私に言った。
「妻との関係は前世の話で妻は転生してますから私はフリーですよ」
「ええええぇぇぇぇ!?」