───店員さんの過去───
「すみません…愛美さん」
「いいえ…あの、何があったのか話して貰えませんか?いつも店員さんに元気を貰ってるから私も店員さんの力になりたいんです!」
「…ありがとうございます。でも、ちょっと昔のことを思い出してただけなんです。大丈夫ですので…」
「嘘だ。心が大丈夫な人は突然泣いたりしない」
「…」
「話して頂けませんか?」
「…わかりました」
そうして店員さんは観念したのかぽつりぽつりと自身の過去について話し始めた。

「僕はずっと妻の結(ゆい)のことが好きで遂に結ばれて娘の心結(こゆ)も生まれて幸せな順風満帆に過ごしてたんです…でも、あの日たまたまスーパーに妻と娘は買い出しに行って交通事故に遭って…」
「…」
「僕は自暴自棄になってふたりが居ない世界から逃げる様に酒に溺れて自殺したんです…ちょうど2年前の今日に」
「それでここが出来た…ってことですか?」
「そう…今はもう妻も娘も転生して居ないけどね」
「…一度は逢えたんですか?」
「逢えたよ。立派に長生きしなさいって怒られた…でも喜んでた"また逢えて嬉しい"って」
「素敵な奥さんですね」
なんでこんな時にも嫉妬なんかするんだろう…
適当な相槌を打ちながら私はこのモヤモヤとした感情を必死に抑え彼の話に耳を傾けた。
彼の惚気話を聞いている内にわかった"店員さんのことが私は好きであり、店員さんは奥さんしか見てないことに"