───雨の闇───
その日の私は不運の最高潮だった。
朝、電車に乗り遅れそうになり慌てて走ると階段でつまづき擦り傷を作り
昼はコンビニで買ったお弁当の中にあった好物を最後に食べようと残していたら仲の良い同僚に奪われた挙げ句上司からの呼び出しを喰らい昼休みはほぼ上司の怒鳴り声を聴いてたら終わりを迎え
夜は終電を逃しタクシーで最寄り駅で降り立ち今に至る。
こんな日は結に行こうと私は結に向かう。
だが、不運なことに結は今日は現れなかった。

翌日仕事終わりに結に向かうと今日は営業中だったのだが、この日は何だか店員さんの様子が可笑しかった。
店員さんは暗闇の中ただ雨が滴る窓をみつめぼんやりとしていた。
「店員さん」
「…あっ、いらっしゃい…すみませんボーッとしちゃって」
「いえ…どうかしたんですか?」
「…なんでもないですよ、それよりご注文はどうします?」
「じゃあ、いつもので」
「かしこまりました」
やっぱり店員さんはミステリアスだ自分のことを一切話さない。
「あ」
「どうしたんです?」
「すみません、材料仕入れるの忘れてました…オムライスでいいですか?」
「はい」
やっぱり今日の店員さん元気無いなぁと思いながら私は出来上がったオムライスを食べた。
すると…
「店員さん!?どうしたんですか?」
店員さんは大粒の涙を流し突如号泣し始めたのだった。