────寂しさを埋めるには───
「こんばんはー!」
「いらっしゃいませ愛美さん」
「愛美ちゃーん!こっちこっち」
「真虎さん!こんばんは!」
喫茶店 結へ足を運ぶといつものメンバーが私を出迎える。
「愛美ちゃん聞いてよー」
「どうしたんです?」
「今日さ彼氏にフラれてさぁ…独りじゃ虚しくなるんだよねー」
「若いうちは沢山フラれても出会いがある!頑張れ!真虎ちゃん」
「辰次さん…」
「ワシは50で女房に逃げられて以来恋とか彼女なんぞは無縁じゃ。せやから、今のうちに寂しさを埋める方法を見つけんといかん」
「そうですよね…独りでも生きて行かなきゃ…ですもんね」
「それもそうなんだけどさー…もう、みんなして意地悪〜」
真虎さんがシマさんを抱き寄せ頭を撫でる。
「いいなぁ…猫は無条件で愛情が与えられるんだから」
と真虎さんが愚痴ると
「シマさんだって元は捨て猫ですよ生まれつき無条件に愛情があった訳じゃないです」
店員さんがキレ気味にでも哀れんでもいるような複雑な表情で言う。
「…そうよね無条件の愛情がある子と無い子様々よね…ごめんなさい、うちもう帰るわ。シマさんもごめんね」
「真虎さん」
「じゃあまたね愛美ちゃん」
「また、来てくださいね」
「…うん」
その後の店内は気まずい雰囲気のまま閉店の時間を迎えた。