───心の拠り所───
あの、異世界って…」
所謂コンセプトカフェ的なやつだろうか?
「あぁそこの説明はもう閉めちゃう時間なんで急ぎ足で説明しますね…」
と猫のシマさんと呼んだ猫を撫でながら彼は歩き出した。
「ここは所謂異世界この世とあの世を繋ぐ言わば境界線です」
「はぁ…」
「まぁ、心が疲れていたり、身体が弱って居る人が辿り着く所だと思ってください」
「…わかりました」
「じゃあ、賄いで悪いですけどチャチャッと作りますのでお待ちください」
店に着いて早々そんなやり取り交わし店員さんが厨房へと去ると私はこの喫茶店の看板猫と思われる猫のシマさんを撫でながら店員さんが現れるのを待った。
「お待たせしました」
店員さんが賄いを持って来た。
「ありがとうございます」
「ごゆっくりどうぞ。シマさん、行こうか」
「シャー!!」
「シマさん」
「大丈夫ですので!無理に引き離すのも可哀想だし」
「ありがとうございます。優しいんですね」
そう言って彼は微笑んだ。
その時の目を細めて微笑む彼の顔に私は何故だかドキッとした。
そして私はその日から平日の夜は異世界喫茶 結で夕食を食べるようになった。
そして私はこの喫茶店の常連さん達や店員さんとも仲良くなりいつしか喫茶店 結が私の心の拠り所になっていた。