「ふふ、そう固くならずとも大丈夫ですよ。さあ、こちらへおかけください」

 オリヴェルさんは、私にテーブルを挟んだ向かい側の席に座るよう言った。

「はい、失礼します」

 私が席に着くと、タイミングを見計らったように料理が運ばれてきた。

「では、いただきましょうか」

 テーブルに料理が並び、食事が始まった。

 私は料理に手をかざして浄化を試す。すると、先ほどど同じように料理がほんのりと光った。

 あ、出来た……。そっか、料理に触らなくてもいいんだ。

 触れなきゃ浄化出来ないのかな、と思っていたから安心した。

 熱い料理だと困るもんね。 

「ほう。もう浄化を使いこなしているのですね。さすがです」

 オリヴェルさんが感心するように言った。

「あ、有り難うございます。でも自己流で……。この方法であっているのでしょうか?」 

「ええ。見たところちゃんと料理を浄化出来ていますね」

「良かった……! あの、神聖力や魔法を使う時、呪文とか唱えないんですか?」

 ファンタジーの映画では、ほとんどの作品で呪文を唱えていた。