まるで呼び鈴みたいだな、と思った私は、図書館の入り口に向かう。

「は、はい。どなたかいるんですか……?」

 恐る恐る扉に向かっていうと、外からヘリヤさんの声が聞こえてきた。

「失礼します。ヒナタさまに軽食とお茶をお持ちしました」

「え!」

 あまりのタイミングの良さに、私が扉を開けると、サンドイッチが乗ったお皿と、ポットが乗ったワゴンを押しているヘリヤさんが立っていた。

「読書のお邪魔をして申し訳ありません」

「いえ! 全然大丈夫です! わざわざ有り難うございます!」

 私はお礼を言うと、ヘリヤさんを中に招き入れた。

「丁度軽食をお願いしようと思っていたところなんです! すごく良いタイミングで驚いちゃいました!」

「それは良かったです。神官長様が図書館にいらっしゃる聖女……ヒナタ様に、軽食をお持ちするようにと指示されたんですよ」

「オリヴェル様が……?」

 もしかして、オリヴェルさんは私が長い時間、図書館に籠ると予想して、ヘリヤさんにお願いしてくれたのかな……?

「はい。ヒナタ様の食欲が戻ったと、とても喜んでおられました。勿論、私もです!」