「へっ? は? え、えぇ〜〜?」

 一難去ってまた一難とは、まさにこのことだと思う。

 良い人なんだろうけど、私は正直オリヴェルさんが苦手だ。

 だって彼は元の世界を──きーくんを忘れろ、と言った人だから。

 それにあの時、一瞬見えた瞳の奥の色が、どうしても気になってしまっている。

「そうすれば、読んだ本のことでわからないことを教えて差し上げることも出来ますし」

「そ、それはそうですけど……っ」

 オリヴェルさんの提案は、とても助かる内容で。

 ここまで親切にしてもらっているのに避けてばっかりでは、流石に私の良心も痛んでくる。

 私は考えた末、オリヴェルさんの提案を受けることにした。

 もしかしたら、怖いと感じたのは勘違いかもしれないし。

 それに仲良くなることで、帰り方のヒントや方法がわかるかも。

「わかりました。ご一緒させてください。でも、マナーも何も知らないので、不快にさせるかもしれませんが……」

 私が承諾すると、オリヴェルさんはにっこり笑顔になった。

 こんな表情を見ると、やっぱりアレは気のせいだったのかな……なんて。