アールデルスという異世界の、ドレクスレル神殿に召喚された私は今、ものすごく豪華な部屋のベッドの上で転がっていた。

 私がこの世界に喚ばれた時にいた場所は、大規模な儀式を行うための場所だそうで。

 ここドレクスレル神殿の神官長であるオリヴェルさんから、元の世界に帰れないと宣言された私は、ひどく取り乱してしまう。

 そんな私を落ち着かせるために、オリヴェルさんに指示された侍女さんたちが、私をこの部屋まで連れてきたのだ。




「……ホント、豪華」

 貴賓室か何かはわからないけれど、私が今いる部屋はとても広くて、一軒の家が丸々入りそうなほどだった。

 しかも置いてある調度品一つ一つが、国宝のように立派だったりする。

 もし一つでも壊してしまえば、一体どれぐらい請求されるのか……想像するだに恐ろしい。

 私はそっと体を起こすと、光が降り注ぐ窓の近くへと向かう。

 大きな窓から眺める景色は壮観で、見たことがない鳥のような生き物が空を飛んでいるのが見えた。

 もしかして飛竜かな……?

 異世界を感じさせるものを見るたびに、私は違う世界に喚ばれたんだと自覚する。