「元の世界、ですか? 貴女さまの仰る元の世界こそ、このアールデルスなのですよ?」

「は……? アールデルス……?」

 オリヴェルさんはこの世界のことをアールデルスと呼んだ。

 そんな聞き覚えがない世界のことを、元の世界なんて言われても、全く意味がわからない。

「どうしてここが元の世界になるんですか?! 私がいた世界は地球です……! それに何度も言いますけど、私は聖女じゃありません!」

 私は何度も何度も否定する。

 そうしないと、この世界から抜け出せないような気がするから。

 断固として聖女と認めない私の態度に、オリヴェルさんが悲しそうな顔をする。

 そんな悲しそうな表情でも、オリヴェルさんは綺麗だな、と頭の隅で思う。

 ……だからと言って、絆されるつもりは絶対に無いけれど。

「貴女様はその命と引き換えにこの世界を守られた、大聖女リーディア様で間違いありません! 我々……いや、私はずっとっ! 貴女様の御魂を探しておりました! 貴女様がこの世界から去られたその後も、ずっと──!!」

「──え……っ?」