私は漫画でもアニメでも、異世界転生モノが大好きだった。

 でも、それはあくまでも娯楽として好きなのであって、自分がそうなりたいと思った訳じゃない。

「いえ、姿は変わられても貴女様は間違いなく、この国の聖女──いや、大聖女様で在らせられます! その虹色の神聖力が証です!」

「……え?」

 オリヴェルさんの言葉を聞いて自分の身体を見てみると、不思議な光に包まれていることに気がついた。

「なっ?! なにこれっ?!」

 ぼんやりとした虹色の光が、私の鳩尾あたりから湧水のように溢れている。

 これが神聖力……? 確かにすごく神々しいと思うけど……。

「さすがは<渺渺たる世界を包み込む大聖女>と称されるだけありますね。その膨大な神聖力……素晴らしい……。いつ見ても惚れ惚れします……」

 オリヴェルさんが神聖力という光を見て、感嘆のため息を漏らす。

「……え? 何それ……っ! 意味がわかりません! 私を元の世界に帰してください! お願いします!」

 聖女とか神聖力とか、そんなこと言われてもすごく困る!

 私はとにかく元の世界に帰りたくてたまらない。

 きーくんに会いたくてたまらないのに──!!