「あの……っ、ここは何処ですか? それに私は普通の高校生で……っ、聖女なんかじゃ──!!」
私の心の中で、嫌な予感がどんどん大きくなっていく。
まさかまさか、私が異世界転生……じゃない、転移? 召喚? された訳じゃないよね……?
「突然のことで驚かれているのですね。どうか落ち着いてください。私はオリヴェル・アスピヴァーラと申します。このドレクスレル大神殿で神官長を務めさせていただいております」
オリヴェルと名乗る人が自己紹介をしてくれるけれど、私の頭の中は疑問でいっぱいで、何か何だかわからない。
ドレクスレル大神殿? 神官長? どれも日本では馴染みがないものばかりで。
そもそも、オリヴェルさんが話す言葉は日本語じゃないのに、何故か私はその意味を理解出来てしまっている。
「な、何で……っ! どうして私はここにいるんですか? 私は聖女じゃありません! 元の場所に帰してください! きーくんに会わせて……っ!!」
私はオリヴェルさんに向かって必死に叫んだ。
夢なら覚めて欲しいと本気で思う。
──でも、今のこの状況全てが、ここが異世界だと示していて。