ベンチに座ってなかったら、本当に倒れていたと思う。

「も、もうっ! きーくんふざけ過ぎ!」

「なんで? 俺ふざけてないよ?」

 こんなとんでもないことを仕出かしておいて、きーくんはケロッとしてる。

 私はもういっぱいいっぱいなのに……!

「俺はもっとひなに触れたいと思ってるんだけど……ひなは嫌?」

「えっ?! えぇっ?! ふ、触れ……っ??」

「ひなが嫌がることは絶対にしない。でも、これからは少しでも俺を意識してくれたら嬉しいな」

「い、嫌じゃない……っ! 嫌じゃないけど、でも……っ!!」

 きーくんの言葉は、まるで告白のよう。

 意識して欲しいって言われても、そんなのとっくの昔から意識してるのに!

「ホント? 嫌じゃない? なら俺、本気出すから」

「……ほ、本気?」

 今でも十分骨抜きにされているのに、まだ始まってもいなかっただなんて……!

 きーくんが本気を出したら、一体どんなことになるんだろう?

「うん。だからひなは逃げないでね。──まあ、逃さないけど」

 きーくんの綺麗な瞳の中に、すごい独占欲と執着が見え隠れしていることに気付く。