「だってひなは可愛いし、俺が居ない間に変なやつに絡まれるかもしれないだろ? 実際今日あったばかりだし。だから見守らせてたんだけど、ついでに治安も良くなったから一石二鳥だよね」

「え、あ、う……、うーん。そ、そう言われれば、確かに治安は良くなったけど……」

 きーくんの言う通りだと思う。優希ちゃんたちも治安が良くなったと言っていたから、それはとても歓迎されるべきなのだろう。

「で、でも、私今まで絡まれたことないし……っ、それに可愛くなんて──」

「ひなは可愛いよ」

 きーくんの真剣な声にドキッとする。

 少なくともきーくんは、私の前では本当のことしか言わない。

 何故かはわからないけれど、きーくんの言葉はまるで、世界の真理のようで。

「うぇっ?! え、あ、有り難ぅ……」

 恥ずかしさのあまり、私の顔は真っ赤になってしまう。きっと全身真っ赤だと思う。

 好きな人からこんなことを言われたら、誰だって勘違いしてしまうに違いない。

 だけど──私は知っている。

 きーくんにはずっとずっと昔から、好きな人がいることを。