私は高鳴る胸を何とか抑えて、きーくんにお礼を言った。

 小さい頃から毎日のように見ている顔なのに、美し過ぎて見飽きるどころか一日中眺めていたいと思ってしまうほど、きーくんはカッコ良い。

 今だって帽子と眼鏡で目立たないようにしているはずが、お忍びの芸能人のようで逆に目立っている。
 現に、周りの通行人はチラチラとこっちを見ているし。

「は、早く帰ろっ! 良かったら家に寄って行って!」

「うん、そうする」

 この場に居続けるのは危険と感じた私は、早く帰ろうときーくんを促した。

 とりあえず、と思って家に誘ってみたけれど、きーくんは素直に頷いてくれる。

 きーくんが私の誘いに簡単に乗ってくれるのは、幼馴染の特権なのかもしれないな、と思う。

 ──だって、きーくんは知り合いでも気が乗らない誘いには絶対乗らないし。

「……暁から連絡もらって、びっくりした。ひなは無事だって聞いたけれど……それでも心配だったんだ」

「あ、有り難う……っ! でもホントすぐ宇賀神さん達が来てくれたから、本当に何もなかったよ! すごいね”鬼神”のネットワーク!」