「上杉さんに伝えなきゃいけないことがあるの」
「うん」
「今まで、たくさんワガママ言って、ごめんなさい。でもね…本当に大好きだったの。その優しさに甘えすぎた。今更、謝ってどうなることじゃないのも判ってる」
「瑤ちゃん…?」
「過去形なんかじゃない。今だって本当に大好きよ。だから…サヨナラ」
「えっ、瑤ちゃん?」
「本当にありがとう」
「ちょっと…!」

 それ以上聞くこともできず、黙って受話器を置く。
 私は、その場で崩れ落ちた…。

 そのあとは、まさに子供のように声を上げて泣くだけ。
 最後の最後まで、結局は幼稚な子供でしか居られなかった。
 情けなくて、悔しくて、哀しくて…涙が止まらない。

 窓の外では、激しい雨音がする。
 まるで、私の滂沱の涙のような雨の降りしきる夜。