もし、ワガママな妹みたいなものを相手にしているだけならば…そんな同情は欲しくない。
 ただ傍に居られるだけで幸せと思えたらよかったのに。
 愛した分だけ、愛されたいと願うのは、我儘だろうか。

 愛…?

 そうじゃない。
 これは、愛ではないのだろう。
 単なる、独りよがりの恋だ。
 おもちゃを欲しがる幼い子供と何も変わらない。

 愛ではないとしても…それでも、やっぱり上杉さんのことが好きで。
 大好きな人に嫌われるのだけは、耐えられない。
 だとしたら…別れを切り出される前に、私から別れるしかないのだろう。

 この電話が最後だから…。
 そう自分に言い聞かせて、受話器を手にした。

「瑤ちゃん、どうした?」
 電話越しには、いつもと変わらない優しい声。
 つい先日、今度のデートでは、上杉さんの行きたいところに行きたいと言ったばかりだけれど、それも叶わぬ夢になる…。