「魔術師とは違うんですよね」
「そうよ。魔術師は人だけど、魔女は……別の次元を生きている存在。これを人と言っていいのか分からないけれど」

 別次元だというのが、どのくらいの、いやどんなものなのか分からない以上、答えようもなく。魔女という存在もまた、まるで御伽噺(おとぎばなし)のような話だった。

 奇妙なことを言って人を惑わし、怪しい魔法と薬で世を混乱に陥れる魔女。竜と同じで、迷惑な存在として、恐れられている。

 先ほどのやり取りで、余計な話はしないと決めたばかりだ。つまり、サビーナ先生は……。

「魔女、なんですか?」
「えぇ。永い時を生き続ける魔女の一人。サミュエル・クラックというの」
「サミュエル……」

 まさか、名前まで偽名だったなんて。私は二重の意味で驚いた。