サビーナ先生はほくそ笑むと、私をユベールに渡した。

「気味の悪い人物に抱かれて聞くよりはいいでしょう」

 ベッドの脇にある椅子に座りながら、サビーナ先生は自嘲気味に言った。

「そんなつもりで質問したわけではありません。先生を気味が悪いだなんて。私はただ……」
「分かっているわ。そうね。ユベールが貴女を私に取られたと思って、見つめる視線が怖かったのよ」
「さ、サビーナさん!」

 こちらはどうやら、図星だったらしい。同じくベッドの近くの椅子、といっても机に付随している椅子に座りながら、慌てていたから。

「あら、折角リゼットが目を覚ましたのに、全く気づいてもらえなくて拗ねていたのではなくて?」
「気づかない? 何のことですか?」
「あらあら。よく見て、リゼット。このベッドの様子を」

 サビーナ先生は私に見えるように、椅子と一緒に移動した。途端、目に飛び込んで来たのは、ベッドの上に散らばった花だった。