赤い光に包まれながら、私は身を縮めていた。まるで赤い光が私を守ってくれているのではないか、と錯覚してしまうほどに。

 そうでもしないと、壊れそうだった。ヴィクトル様の想いを受け止めきれなくて。けれど、手放したくもない。

 矛盾しているのはやっぱり、今でもヴィクトル様が好きだから、なんだと思う。

 手を差し伸べられ、惹かれて好きになって。ヴィクトル様も私を、と錯覚して、勝手に裏切られた気分になっていた。
 婚約破棄されても悲しさよりも、やっぱり、と納得した気持ちの方が大きくて。だから死を願ったのに、結局はまた裏切られた。

 それも『愛している』と、口頭ではなく、手紙で。

 直接、聞きたかったです、ヴィクトル様。

 もう伝えることができない想いに、私は涙するしかなかった。