どんな服をユベールに作ってもらうか。私は自由に体を動かせない代わりに、頭をフルに回転させて考えた。作業台の近くの棚は、さながら見本のように見える。

「どれも素敵。この中から選ぶのはどうかしら」

 でも、折角作ってもらうのなら、別のドレスがいい。思い切って、魔術師風にローブみたいな服はどうだろう。

「味気ないかな」

 ふと、室内をドタドタと駆け回る足音の方に向かって視線を動かす。窓から見える日の傾きから、どうやら夕食の支度をしているらしい。人形の私には不要な料理を。

 ユベールはそれを一人で食べる。私がここに来る前も、来た後も。

「私も食べられたらいいのに」

 そしたら、ユベールも寂しくない。

「うん。やっぱりちゃんと考えよう。私の服なんだから」

 そう決心したものの、思いの外、それは早くやってきた。しかも、想像とは遥かに違う物として。