「だから、お詫びをさせて。といっても、服を作るくらいしかできないけど……。何かリクエストはある?」
「……そう言われても、すぐには思い浮かびません」

 顔を上げた瞬間、すかさずボンネットを直すユベールに、私はさらに困惑した。
 赤いドレスと同じ薔薇柄のボンネット。グレーのレースとリボンが付いているため、薔薇が大きく描かれていても、派手さは感じなかった。むしろ、落ち着いていていい。

 もしも自由に体を動かせたら、そこら辺を歩いてみたいし、広がるスカートを左右に振らせてみたい。

 着ている私でさえも、気に入るのだから、ユベールの服を求める人たちの気持ちが分かる。

「それじゃ思いついたら教えて。最優先で作るから」
「はい」

 お詫びだと分かっていても、少しだけ嬉しくなった。