「か、可愛い……」
「でしょ! 元々手芸は得意なんだけど、リゼットを探している内に、人形用のドレスを作ったんだ。そしたら好評でね。最近じゃ、デザインまで指定されるほど売れるんだ」
「こんな可愛いドレスを作れるなんて……凄いです!」

 一応、淑女教育は受けたものの、手芸関係は苦手だったから余計にそう思った。刺繍はヴィクトル様にあげたくて、一生懸命頑張ったけど。

「ありがとう。因みに、これはリゼット用に作ったんだけど、寸法とか合っているか分からないから、測らせてもらってもいい? あと……その他も綺麗にしたいんだけど……」
「その他? 綺麗に?」

 もしかして、私を洗いたいってこと!? 確かに体を自由に動かせない身だけど……!

「待ってください! 体は自分で洗いたいです」
「時間がかかるよ。まだ自分で歩くことはできないんでしょ? 衛生的にも良くないし、僕が洗った方が」
「嫌です!」

 特にヴィクトル様に似ているユベールに洗われるのは、さすがに抵抗があった。しかしユベールは無情にも、私に伸ばす手を引っ込めない。

「ごめん、リゼット。少しの間だから我慢して」
「やっ……」

 ユベールはそう言いながら、胸元の赤い魔石を取り出した。その途端、意識が朦朧となり、私はゆっくりと瞼を閉じた。